ダイヘン様 事例 フォグコンピューティングによる工場オペレーション リアルタイムデジタルトランスフォーメーション


カリフォルニアマウンテンビュー発 , April 26, 2018 (GLOBE NEWSWIRE) --

導入背景

株式会社ダイヘン(大阪市淀川区)は、自社工場における生産性・品質の向上も含めた、全社的なオペレーションレベルの大幅な改善を進めている中、各生産ラインにおける作業状況の情報が完全にデジタル化されていないことにより、管理者が各製造工程で発生している問題や現在の状況を正確に把握することが難しい状況にありました。

同社が全国各地に持つ工場の中から、FogHorn導入プロジェクトの第1ステップとして選んだ工場は、産業用変圧器の製造を行っている、大阪本社の十三工場でした。この変圧器の製造工程は、熟練した担当者によって作業が進められておりますが、その多くは手作業であり、現場における作業状況の殆どはデジタル化されていませんでした。

十三工場で解決を目指す課題は大きく分けて3つ。1つは製造機械のコンディション監視、1つは工程間のコラボレーション、そして最後が工場内における様々な情報の自動ロギング。同社 執行役員であり業務改革推進部長の山野一郎氏がリーダーとして、株式会社エネルギア・コミュニケーションズ(広島市中区)とFogHorn Systems社とチームを組み、プロジェクトをスタートさせました。

課題1: 製造機械のコンディション監視

変圧器の中でもっとも重要な部品のコイルは鉄心と銅線から構成され、そのひとつひとつは、熟練工が行う巻線機の細やかなチェック作業のもとで作られます。また、完成したコイルはクリーンルームに安置されており、安定した温度と湿度、そしてホコリ量も、適切なレベル以下に保たれている必要があります。

完成したコイルは乾燥室へ移送され、さらに水分を除去する乾燥工程に移ります。乾燥室の各状態は、既にマニュアル作業により管理されていましたが、山野氏が目指すゴールは、乾燥室の様々なポイントにおいて計測を行いつつ、より細やかかつ正確に、乾燥工程全体の品質管理を自動的に行うことにありました。

課題2: 工程間のコラボレーション

変圧器の製造工程は複数に分かれており、各工程の遅れ・進みはその前の工程に依存しております。各工程の作業担当者は、前工程の進捗に注意を払いながら、現在の作業を進めていく必要がありますが、各工程の進捗状況はデジタル化されておらず、各工程の作業担当者は、その前工程の作業担当者と連絡を取り、その都度、状況把握をする必要がありました。その結果、コミュニケーションの漏れによる作業遅延も発生しており、最適なオペレーションとは言えない状況にありました。

課題3: 工場内における情報のロギング自動化

変圧器に求められる品質・信頼性は極めて高く、また様々な規定を満たす必要があります。そのため製造担当者は、様々なデータ計測やその記録、チェックリスト記入等に多くの労力を払う必要がありましたが、この作業は、製造工程において無視できないものとなっており、また製造担当者が製造自体に集中することも難しくしており、作業の効率・精度の観点からも望ましいものではありませんでした。

FogHorn Lightning™導入によるソリューション実現

山野氏は、このような諸問題に対して、従来のバッチ処理型のシステムでは解決することが難しく、リアルタイム性の高いデータ処理を行うシステムが重要であることを認識しており、そこで、自社に必要とされるソリューションを実現するパートナーとして、製造業IoTの分野で豊富な経験を持つ、株式会社エネルギア・コミュニケーションズと、同社が取り扱っているフォグコンピューティングソリューションを提供している、FogHorn Systems社と協業することを決定しました。

山野氏は、工場における情報のデジタル化の第一歩として、生産ラインにRFIDを導入し、各製造工程の生産状況や所要時間等のデータを取れるようにしました。また、クリーンルームにセンサーを配置して気温・湿度やホコリ量の自動計測も実施し、これらのデータをIoTプラットフォームであるFogHorn Lightning™で、高い品質レベルで集約できるようにいたしました。現時点、このクリーンルーム内における、巻線機チェック作業の自動化率は約33%となっています。

FogHorn Lighting™はこのソリューションにおいて、コアとなるプラットフォームであり、RFID、PLC、センサーからデータを取り込み、工場のオペレーションに必要なデータをリアルタイムに生成します。これによりダイヘンは、製造工程におけるモノや人の流れ、例えば、どこでどのように仕掛品が保管され、それらがいつ誰によって組み立てに利用され、どの製造工程の段階にあるのかどうか等、様々な状況をリアルタイムに把握できるようになりました。また、取り込んだデータはすべて可視化され、各工程で共有されております。各工程は今までと異なり、前後の工程での状況を正確かつ迅速に把握できるようになり、作業効率が大幅に改善されました。今までの口頭ベースによる連絡で発生していたコミュニケーションの漏れはなくなり、また、製造工程における状況のデジタル化により、製造担当者の手作業で記録されていたチェックデータも自動的に生成されるようになったことで、製造工程における作業時間の削減にも大いに貢献いたしました。

FogHorn導入の効果

  • DevOpsモデルにより、迅速なソリューション提供が実現できました。ダイヘンのプロジェクトは2017年4月に始まり、環境モニタリングは5月に実施し、その後、RFIDベースの製造工程モニタリングシステムを7月に導入を完了しました。10月には様々な工程への導入も進み、わずか6ヶ月で工場のプロセス全体の約7割へのソリューション提供が完了しております。
  • 今までの精度が低い作業計画の策定や手作業によるチェックデータ記録が大幅に改善され、約1800時間もの作業時間が削減できました。
  • 工場におけるオペレーションの情報が可視化され、関係者で把握することができるようになり、迅速かつ正確なビジネス上の意思決定を行うことが可能になりました。

ネクストステップ

現時点での大阪工場のソリューションのカバー率は約70%。ダイヘンはこれを2018には100%のカバー率を目指して、更に展開を進めてゆく予定です。これにより、現時点で実現できた1800時間の効率化を大きく上回る、約5000時間を作業時間削減ができると見積もっております。また、ダイヘンは全国にある他の工場にもFogHorn Lightning™を導入したソリューション展開を順次進めていく予定です。

株式会社ダイヘンについて

株式会社ダイヘンは変圧器をはじめとする電力機器や、産業用ロボット、溶接機、高周波電源、ワイヤレス給電システムなどを提供し、電力インフラの高度化や世界のものづくりの発展に貢献するメーカーです。

株式会社エネルギア・コミュニケーションズについて

株式会社エネルギア・コミュニケーションズ (エネコム)はネットワーク、クラウドサービス、データセンター、セキュリティ等様々なサービスを提供するトータルシステムインテグレータです。既存のサービスと併せてIoTサービスを製造・プラントやエネルギー産業向けに展開しており、オペレーションの効率化、予兆保全などの先進的な分野で活発にビジネスを拡張しております。

FogHorn Systemsについて

2014年に設立 。インダストリアルIoT向けフォグコンピューティングプラットフォームベンダーとして業界を牽引。現在まで2度の投資ラウンドを行い、日本円にて約50億円ほど資金調達を行いました。出資者はGE、Bosch、Saudi Aramco、横河電機、Honeywell、Dell/EMC、Intelなど。
米国シリコンバレーを本社に、インド、日本、韓国、サウジアラビア、ヨーロッパに展開中。

メディア問い合わせ先
セーラ・ソーソン (Sarah Thorson)
FogHorn@10fold.com
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